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世界の家庭を語る会

島田勝弘 の 超えられるか異文化の障壁
NO.4 子供の語学の習得と大人の語学の習得の違い

中高年になって語学を習得しようと思っても、子供のようにはいきません。
若い頃から英語を継続的に勉強していた方々は大丈夫ですが、学校を出て40年経って一念発起して英会話スクールに行っても、あるいは外国にある期間滞在しても、結局挫折してしまいます。

何故でしょう。
先回述べたヒロクン(現在3才7ヶ月)の例と比較して考えてみましょう。
満3才の頃まで、彼はすべてのネガティブの表現は「、、、、、じゃない」と言っていました。しかし、6ヵ月後の今では、動詞・形容詞・形容動詞のネガティブ(否定文)を完全に間違いなく話します。彼に私が日本語文法を教えたわけでもなければ、教科書で学習したわけでもありません。保育園に行って友達と遊び、帰って来て親とけんかし、しかられる毎日なのです。

どの子供もものすごいスピードで言葉を習得していゆきます。●ヒロクンの場合を考えてみましょう
子供同士や保母さんと遊んだりするアクション、親にしかられるという経験は彼が覚えていく言葉の表現と完全に結びついています。つまり、体験の数だけ言語表現を即座に習得していきます。
一日に何十という文脈を覚えていっています。
何しろ、脳細胞がどんどん増殖していく時期ですから当然です。
多少の遅い早いの相違はあっても、どの子供も同じように、自然にものすごいスピードで言葉を習得していきます。うちの子は神童だ、東大に入れるなどと、早合点してはいけません。
どの子供も同じなのです。

さらに驚異的なのは、数多くの文脈を記憶しながら、本能的に一般化している、つまり、文のシステムを脳の中に作っていくことです。
これは誉められている表現だ、しかられている表現だ、という意味を親の表情や動作から理解し、単に単語の意味だけでなく、表現の型、つまり文型を頭の中に記憶して、後にまたそれを体験する時、理解したり、応用したりしています。
学校に入る以前の子供は意図的に学ばなくても、本能的に数多くの文脈から一般的な法則を導き出しています。

●大人の場合(中高年の場合)
これに反して、大人の場合は、経験の数が著しく多いにもかかわらず、それにともなう新しい言語表現(例えば英語)を記憶する能力が著しく低いために、覚えている例文が少なくて帰納的に一般化することができません。

この薬がガンに効果があるかどうかは、10人や20人の患者に投与しても一般的な結論は導き出せません。何百人、何千人という人に投与してみないと効く、または効かないという一般化はできません。

大人の場合は、脳の中にストックされている言葉の症例の数が少なすぎます。
従って、数多くの文脈を記憶する前に結論の一般法則、つまり文法を意図的に学んでしまった方が近道です。そして、その法則から如何に演繹的に具体的な表現を作っていくかの訓練をした方が、例えば英語という新しい言葉を操るためには手っ取り早いと思われます。

●心理的文法
私の言う心理的文法、または文法用語を使わない文法主義というのは、このような意味からです。
言葉を学問的に体系づけるための文法ではなく、言葉を習得するための文法です。
経済学が国家や世界の経済システムを論じ、体系づけるのに対して、私がもしラーメン屋を経営しているとすれば、インフレだ、デフレだと論じるよりも、如何に美味しいラーメンを作り、効果的に宣伝して、集客するかに頭を使ったほうがよいのと同じです。

心理的文法


※子供とは小学生に上がる以前の子供。それ以後は意図的、つまり学習と本能的なものと両方が組み合わさっているものと思われます。

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